
アニメの制作期間はどれくらい?1話・1クール・映画の場合とは
アニメの制作期間がどれくらいかかるのかご存知ですか?作品の規模や種類によって大きく異なりますが、1話30分程度のアニメ作品であっても、制作期間としては数ヶ月かかることも珍しくありません。
またアニメ制作の工程や制作費がどれくらい必要かも気になりますよね。
本記事では、
- アニメの制作期間
- アニメの制作費用の目安
- アニメの制作工程
- アニメ制作時の注意点
について詳しく解説します。
1話(30分程度のテレビアニメ)の制作期間
テレビアニメの1話(約30分)の制作期間は約3ヶ月〜4ヶ月が一般的です。ただし、これはあくまで一つの話数を独立して制作した場合の目安であり、実際の制作現場では複数の話数が並行して制作されることが多いです。
1話の制作は、以下のような工程を経て完成します。
- プリプロダクション(前準備)(制作期間:約1〜2ヶ月)
- 企画・シナリオ作成:脚本家や監督がストーリーを構築し、シリーズ構成と話数ごとのストーリー展開を決める。
- 絵コンテ作成:演出家がストーリーを絵で視覚化し、カメラワークやカット割りを決める。
- プロダクション(実制作)(制作期間:約2〜3ヶ月)
- 作画(原画・動画):原画マンが主要なシーンの作画を行い、動画マンが間の動きを描き足す。
- 彩色・背景制作:キャラクターや背景に色を塗る作業。デジタルツールを活用して進める場合も多い。
- 撮影・編集:作画と背景を合成し、1つの映像として編集する。
- ポストプロダクション(仕上げ)(制作期間:約1ヶ月)
- アフレコ・音響制作:声優が台詞を収録し、BGMや効果音を追加する。
- 最終調整:全体の映像をチェックし、必要な修正を施す。
合計制作期間:約3ヶ月〜4ヶ月
ただし、スケジュールが逼迫している場合、並行制作や外部スタジオの活用 によって、さらに短期間で仕上げることもあります。
1クール(12〜13話)の制作期間
テレビアニメ1クール(12〜13話)には 約1年〜1年半の制作期間が必要です。
1話ずつ順番に作るのではなく、複数の話数を並行して制作するのが一般的な進行方法です。例えば、第1話の作画が始まったタイミングで、第5話の脚本が完成しているというケースも珍しくありません。
- プリプロダクション(企画・構想)(制作期間:約3〜6ヶ月)
- 作品のコンセプトやキャラクターデザイン、シリーズ構成を決定。
- 主要なスタッフ(監督・脚本家・アニメーター)を集める。
- 予算や放送スケジュールを決定。
- プロダクション(実制作)(制作期間:約9〜12ヶ月)
- 絵コンテの作成が進行しながら、並行して作画チームが複数の話数を進める。
- 一部のエピソードを外部の制作スタジオに発注することも多い。
- ポストプロダクション(仕上げ)(制作期間:約2〜3ヶ月)
- アフレコ・音響制作を行いながら、最終話の編集作業も同時進行で進める。
このように、「並行制作」 と 「分業体制」 によって、1クール分のアニメを1年〜1年半で仕上げることができます。
劇場版アニメの制作期間
映画の場合、クオリティが求められるため、制作期間は1年半〜3年以上かかるのが一般的です。特に、スタジオジブリや新海誠監督の作品のような緻密な作画・CGを駆使した作品では、より長い制作期間を要します。
劇場版アニメは以下のような工程で進められます。
- プリプロダクション(制作期間:約6ヶ月〜1年)
- 企画、脚本作成、美術設定、キャラクターデザインが進行。
- キャラクターの3Dモデル作成(CG作品の場合)。
- プロダクション(制作期間:約1年〜2年)
- 高精細な作画のため、1秒あたりの作画枚数(コマ数)が増加。
- 作画チームが大規模になり、徹底した品質管理が必要。
- CGや特殊効果の追加。
- ポストプロダクション(制作期間:約6ヶ月)
- 音響、BGM、最終編集を行う。
- 映画館で上映するための 4K解像度調整 や HDR処理 を施すことも。
劇場版アニメは、テレビアニメよりも制作期間が長い理由として、「フルアニメーション(1秒間に24枚の作画)」を採用するケースが多いためです。そのため、より繊細な動きを表現するための 作画リソースと時間 が求められます。
補足:アニメの制作期間を短縮するには
アニメ制作のスケジュールを短縮するために、以下の方法を取ることも可能です。
- 制作体制の強化
- 主要制作会社では、作画・背景・CG・音響などのチームを細分化し、それぞれの作業を並行して進めることで効率化を図っています。
- 海外のアニメーションスタジオとの共同制作も一般的。
- デジタル作画の活用
- CLIP STUDIO PAINT、Toon Boom Harmony などのデジタルツールを活用することで、修正作業や動画作成の効率が向上。
- AIアニメーション技術 を導入することで、作業時間の短縮が可能。
- CG技術の導入
- 3Dモデリング技術 を活用し、背景や一部のキャラクターをCG化することで、作画負担を軽減。
- 近年の セルルックCG(例:「宝石の国」「BEASTARS」)は、2Dアニメに近い表現を実現しつつ、制作期間を短縮する手法として注目されている。
アニメの制作費はどれくらい?平均予算について解説!
アニメ制作には膨大なコストがかかります。特に近年ではアニメのクオリティ向上に伴い、予算も増加傾向にあります。以下に、アニメの種類別の平均的な制作費を示します。
- 1話(30分アニメ):約1,000万円〜2,000万円
- 1クール(12話):約1.5億円〜3億円
- 劇場版アニメ:約3億円〜10億円以上
制作費の内訳として、特に大きな割合を占めるのが 作画・アニメーターの人件費(全体の40〜50%) です。また、以下のコストも加わります。
- 声優のギャラ(全体の5〜10%)
- 音響制作費(5〜10%)
- CG・編集作業(10〜20%)
- プロモーション費用(10〜30%)
特に劇場版アニメの場合、プロモーション費が膨大になり、制作費の倍近くかかるケースもあります。
そもそもアニメはどうやって作る?制作工程を解説!
アニメは、さまざまな専門職が協力しながら制作される総合芸術です。基本的に、アニメ制作は6つの主要な工程に分かれます。それぞれの段階で異なる役割があり、制作の流れに沿って進行します。
ここでは、アニメ制作の流れに関して、
- 企画・構想
- 脚本・絵コンテ
- 作画・着彩・背景
- 撮影・編集
- アフレコ
- 音響・ビデオ編集・納品
の6つに分けて詳しく解説します。
①:企画・構想
アニメ制作の第一歩は 企画・構想 です。ここで作品の基本方針が決まり、制作の土台が築かれます。
1. 企画立案
- 原作ありのアニメ(漫画・小説・ゲームなど)なのか、オリジナルアニメ なのかを決定。
- ターゲット層(子供向け・深夜アニメ・ファミリー向け など)を設定。
- どのメディアで展開するか(TVアニメ・劇場版・Web配信 など)。
- 作品のコンセプトやテーマ(SF、ファンタジー、恋愛 など)。
2. 製作委員会の設立
- アニメ制作には膨大な資金が必要 であり、1社だけで負担するのは難しいため、スポンサー企業が集まり 「製作委員会」 を組織。
- 出資者(出版社・ゲーム会社・おもちゃメーカー・テレビ局など)を確保。
- 予算や放送スケジュールを決定。
②:脚本・絵コンテ
物語を視覚化するために、脚本 と 絵コンテ の制作が行われます。
1. 脚本制作
- 脚本家 が物語をシナリオ化。1話ごとに 約20〜25分(Aパート・Bパート構成) で構成。
- 監督・脚本家・プロデューサーで打ち合わせを繰り返し、修正を重ねる。
- シリーズ構成(全話の流れ)を決定し、各話のエピソードを具体化。
2. 絵コンテ作成
- 演出家や監督が脚本をもとに「絵コンテ」を作成。
- カメラワーク・キャラクターの動き・カット割り などが決定される。
- 1話の絵コンテは 100〜300枚 に及ぶこともある。
③:作画・着彩・背景
アニメーションの ビジュアルを作成する最も重要な工程 です。
1. 原画(キーアニメーション)
- 原画マン が重要な動きのポイントとなる絵(原画)を描く。
- キャラクターのポーズや動作の 決めカット(キーフレーム) を制作。
2. 動画(中割り)
- 動画マン が原画の間の動きを補完し、スムーズなアニメーションにする。
- 1秒間の映像には 12〜24枚の作画 が必要(通常24fpsのフレームレート)。
3. 色彩設計・彩色
- キャラクターや背景の色を決定 する(色彩設計)。
- デジタルツールを用いてキャラクターに色を塗る(着彩)。
4. 背景美術
- 美術スタッフ が背景を描く。手描きや 3DCG も活用される。
- アニメの世界観を作り上げる重要な要素。
④:撮影・編集
作画されたキャラクターと背景を合成し、映像としての最終調整 を行う工程。
1. 撮影
- 撮影スタッフ がキャラクターと背景を合成し、エフェクトを加える。
- パソコン上でデジタル撮影を行い、映像の レイアウトやカメラワークを調整。
2. 編集
- 各シーンをつなぎ合わせ、アニメーションとして成立させる。
- 必要に応じて シーンの長さ調整・リテイク対応 を実施。
⑤:アフレコ
アニメの映像に 声優が台詞を吹き込む作業。
1. アフレコ(アフター・レコーディング)
- 声優が映像に合わせて セリフを収録。
- 1話につき約4時間〜6時間程度の収録 が行われる。
- 映像が間に合わない場合、「プレスコ(先録り)」 と呼ばれる方法で音声を先に収録することもある。
⑥:音響・ビデオ編集・納品
映像に BGMや効果音を加え、最終的な仕上げを行う。
1. 音響制作
- BGMや効果音を追加 し、アニメの世界観を演出。
- サウンドエフェクト(SE) を入れ、迫力や臨場感を向上。
2. ビデオ編集
- 最終的な映像と音声を統合し、テレビ放送・映画館上映用に フォーマットを調整。
- 4K・HDR対応の作品 では、映像のカラーグレーディング作業も行う。
3. 納品
- 完成したアニメは、放送局・配信サービス・映画館へ納品。
- 放送前の試写 で問題がないか最終確認。
参考:アニメ制作時に注意すべきポイントとは?
アニメ制作は膨大な工程を経て完成するため、事前の準備や制作進行の管理が極めて重要です。
特に、外部の制作会社に依頼する場合やスケジュール管理を行う際にはいくつかの注意点があります。
ここでは、アニメ制作時に意識すべき2つの重要ポイントについて、
- 制作会社に依頼する場合は、費用だけで選ばない
- スケジュール管理は厳密に行う
を詳しく解説します。
①:制作会社に依頼する場合は、費用だけで選ばない
アニメ制作を外部の制作会社に依頼する場合、コストだけで判断すると、思わぬトラブルが発生する可能性があります。
低価格の制作会社に発注した場合、以下のような リスク が考えられます。
1. 作画・アニメーションのクオリティが低い
- 低コストの制作会社 は、新人アニメーターや未経験スタッフを多く雇用している可能性がある。
- 作画崩壊やキャラクターのデザインミスが発生するリスクが高くなる。
- 過去の制作実績を確認 し、どのような作品を手がけてきたかを必ずチェックする。
2. 納期が遅延する可能性
- 予算が少ないと作業スタッフの人員不足により、納期が大幅に遅れる可能性がある。
- 納品が間に合わず、スケジュールに支障が出ることも。
- 事前に制作スケジュールを明確にし、進捗報告のルールを決めることが重要。
3. コミュニケーションの問題
- 海外の制作会社に発注する場合、言語の壁や文化の違いにより、意図が正しく伝わらないことがある。
- 細かい修正が依頼しづらい制作会社では、期待した品質に仕上がらないリスクがある。
- 打ち合わせの頻度やフィードバックのプロセスを明確にすることで、品質を維持できる。
✅ 依頼時に確認すべきポイント
- 過去の制作実績(公式サイトやYouTubeなどで作品を確認)
- 作画やアニメーションの品質(キャラクターの動きや表情、背景の精度)
- 納期遵守の実績(クライアントの評価や口コミをチェック)
- コミュニケーション体制(進捗報告の頻度、修正対応のスピード)
⚠️ 実際に発生したトラブル事例
- 海外の安価な制作会社に発注した結果、作画崩壊が発生し、全話リテイクに → 放送延期に追い込まれる。
- 低価格で受注した制作会社がスタッフ不足で納期遅延 → 途中で別の制作会社に引き継ぎ、結果として コストが倍以上に なる。
- 品質の低い作画を修正するため、制作会社を変更 → 追加の予算が必要になり、結果的に 最初から高品質な制作会社に依頼したほうが安かった というケースも。
②:スケジュール管理は厳密に行う
アニメ制作は 1つの工程が遅れると、全体の進行に大きな影響を及ぼすため、スケジュール管理は極めて重要です。
特にテレビアニメの場合、放送日が決まっているため、締め切りを厳守しなければなりません。
1. 制作スケジュールの基本構造
アニメ制作は並行作業が多いため、以下のようなスケジュール管理が必要です。
| 工程 | 期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 企画・脚本作成 | 3〜6ヶ月 | シリーズ構成を決定 |
| 絵コンテ・演出 | 1〜2ヶ月 | カメラワーク・シーン構成 |
| 作画(原画・動画) | 2〜4ヶ月 | 最も時間がかかる工程 |
| 彩色・背景制作 | 1〜2ヶ月 | 色彩設計・背景美術 |
| 撮影・編集 | 1〜2ヶ月 | 合成・エフェクト追加 |
| アフレコ・音響制作 | 1ヶ月 | 声優の収録・BGM・SE追加 |
| 最終編集・納品 | 2週間〜1ヶ月 | 放送・配信準備 |
2. 遅延が発生するとどうなる?
- 1つの工程が遅れると、その後の全工程に影響を与える。
- 締め切りが近づくと「カット数を減らす」「静止画でごまかす」などの苦肉の策が取られる。
- 最悪の場合、放送スケジュールが崩壊し、総集編や制作中止のリスクがある。
3. 制作遅延を防ぐための対策
✅ 余裕のあるスケジュールを組む
- 例えば、1クール(12話)の制作を 1年半〜2年前から開始する。
- 最初の数話を放送開始前に完成させることで、遅延リスクを軽減。
✅ 定期的な進捗確認
- 「何%の作業が完了しているか」を可視化し、遅れが出ている場合は早期に対応。
- 「1週間ごとのミーティング」で進捗を報告し、問題があればすぐ対策を打つ。
✅ 外部スタジオの活用
- スケジュールが厳しい場合、背景制作・作画の一部を外部の制作会社に依頼することも検討。
✅ デジタル作画・AI技術の活用
- 近年では デジタル作画ツール(Toon Boom Harmony, CLIP STUDIO PAINT など) を活用し、修正作業を迅速化。
- AI技術を使った動画補完により、作画工程の時間短縮が可能。
⚠️ 実際に発生した制作遅延の事例
- 放送直前に作画が間に合わず、「総集編」を急遽放送 → 視聴者からの批判が殺到。
- スケジュール管理のミスで、最終話の納品が放送前日ギリギリに → 一部のシーンが未完成のまま放送される。
- 海外スタジオの納品が遅れ、作画リテイクが発生 → クオリティ維持のために公開延期。
まとめ:アニメの制作期間は1ヶ月〜数年程度かかる!
ここまで、アニメの制作期間や制作工程に関して解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
この記事の内容をまとめると、
- アニメの制作期間は、1話制作におよそ数ヶ月、1クール制作におよそ1~1年半、アニメ映画制作には1年~数年程度かかる
- アニメの制作費用は、30分アニメ1話でもおよそ1000万円以上は必要
- アニメ制作は様々な工程に分かれており、1クール分制作では数百人以上の人が関わる
- アニメ制作時は、スケジュール管理やどの制作会社に依頼するかが重要
でした。
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